「自立した子ども」が育つ家庭習慣とは?

子育て

子育てをする親の究極の願いは、「子どもの自立」にあります。自分がいなくなった後も生きていく子どもの将来を案ずればこそ、「自分で判断し、行動できる人間に育ってほしい」、そう願っている保護者の方は多いと思います。ところが多くのご家庭を見ていると、保護者がその思いとは逆の行動をとってしまい、子どもの自立を妨げているケースがあるようです。2つの問いかけから、自立した子を育てるために家庭で心がけてほしいポイントについて考えてみました。

Adviser
佐鳴予備校教師 柴山直也
佐鳴予備校のエキスパート教師。情熱あふれる指導で、多くの受験生たちを志望校合格へと導く。生徒や保護者からの学習相談にも親身に対応し、勉強や受験に対するアドバイスへの信頼が厚い。

子どもの「考える力」を奪っていませんか?

答えを出すのは子ども自身。
結論を急がず、「待てる親」になりましょう。

受験するのは、子ども?お母さん?

教師をしていると、さまざまな生徒と保護者に出会います。

ある日、中学受験を考えているという小学4年生とそのお母さんとで、三者面談をした時のことです。「どこの中学校に行きたいのかな?」「勉強で困っていることは?」…など、私はその子にいろいろ質問するところから始めました。ところが、当の本人は下を向いて黙ったまま。答えを返してくるのは、すべてお母さんなのです。「うちの子は、〇〇中学が合っているかな?と思って」「算数の〇〇単元が苦手なので困っているんです。どうしたらいいんでしょうか?」…。まるで、受験するのがお母さん?と思ってしまうような熱心な話しぶり。結局、その生徒はほとんど発言することなく、中学受験をする本人の真意を聞けないまま面談は終わってしまいました。

「指示する」「答えを出す」のは正解か

実は、これと似たようなケースは珍しくありません。家庭でよくある光景ですが、「早くご飯を食べなさい」「早く学校に行きなさい」「早く勉強しなさい」など、親が子どもに細かく指示を出してしまう。「あなたはこうだから」「こうするのが一番だから」など、親が先回りして子どもをコントロールしてしまう。保護者としては、わが子のために良かれと思ってやっているのでしょうが、これが繰り返されると子どもは考える力が失われ、やがては誰かに指示されないと動けない「指示待ち人間」になってしまいます。

大人は、子どものためにすべてを代わってあげることはできません。生きていれば、子どもはいずれ必ず自分で解決しなければならない問題にぶつかります。答えを教わることに慣れてしまった子は、自分で解決する力が育ちません。その結果、勉強が嫌になってついていけなくなったり、挑戦そのものをあきらめたりするようになってしまいます。

「考えさせる」時間が子どもを育てる

『本当の教育とは、魚を代わりに獲ってあげることではなく、魚の獲り方を教えてあげることにある』。この言葉は、私たちに子育ての本質を教えてくれています。子どもに考えたり解決させたりするのは時間がかかるため、大人はつい早く結果を出すことを優先的に考えてしまいがちです。ただ、そうした過保護が子どもの「自立する力」を奪ってしまっていることに、私たちは十分注意しなくてはなりません。

大切なのは、子ども自身が自分の頭で考え、答えを出し、行動できるように育てることです。「自立した子どもに育ってほしい」と願うなら、保護者はいたずらに結論を急がず、子どもにじっくり考えさせる「待てる親」になってほしいと思います。

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