「全国学力テスト」の結果に見る!学習習慣と正答率の関係

教育

全国学力テスト 静岡県の小6の正答率は平均以下!

2021年8月31日、文部科学省は全国の小学6年生と中学3年生を対象に実施した「全国学力テスト」「学習状況調査」の結果を公表しました。

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「全国学力テスト」って、全ての小中学校で一斉にやるテストですよね。今年も行われたんですか?

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昨年はコロナ禍で中止されましたが、今年(2021年)は5月27日に実施されました。日本全国の小中学校の最高学年(小学6年生・中学3年生)全員を対象に、学力・学習状況の調査を目的として行われています。結果は正答率で評価され、都道府県単位で公表されているのも特徴です。

今年の静岡県の結果に注目してみると、中学3年生は国語・数学ともに全国平均を上回っていたものの、小学6年生は国語・算数ともに全国平均を下回りました。平均正答率は、国語が64.5%で全国平均より0.2ポイント低く、算数は69.6%で全国平均を0.6ポイント下回っています。

 

「正しく読み取る力」「明確に書く力」が課題

静岡県に限らず、全体の小学6年生の正答率を見てみると、さまざまな特徴が見えてきます。指導要領の分類別に分析した結果の一例を見てみると、

小6国語

「話すこと・聞くこと」の正答率は77.9%と良好でしたが、「読むこと」47.4%、「書くこと」60.8%という結果から、それらは多くの児童が苦手としていることがわかります。例として、衣類などに使われるファスナーを巡り、発明の経緯や現在の使われ方について取り上げた文章を題材にした問題がありました。発明のヒントになった出来事や仕組みを文章や資料から見つけて50字~80字でまとめる出題の正答率は、34.6%にとどまっています。誤答のうち、「開発のヒント」「仕組み」の双方を記述しなければならないところを、どちらか一方しか書いていない児童が過半数(50.8%)となりました。内容を正しく読み取り、条件に即しながら明確に書く力が弱いことがわかります。

小6算数

「変化と関係」の領域では、速さと道のりをもとに、時間を求める式を立てる問題の正答率が85.2%だったのに対し、速さを求める式から、説明文として適切なものを選ぶ問題の正答率は56.0%にとどまりました。この問題は、計算式と答えが既に記述されており、計算式が何を表しているかを選択する問題です。「立てた式」が「何を求める式なのか」という根本理解が不十分な子どもが多いことがわかります。また、「データの活用」では、複数のグラフを比較し、示された特徴をもった項目とその割合を言葉と数を用いて記述する問題の正答率が52.2%でした。文章やグラフを正しく読み解き、自分の言葉で十分に表現する力が不足していることも見えてきます。

原因は勉強不足!? アンケートから見える学習習慣の実態

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複雑な問題になると、やはり正答率が低いようですね。昨年、新型コロナ拡大による一斉休校がありましたが、その影響はあるのでしょうか?

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そうともいえません。以前から、学習内容を根本理解できていなかったり、知識の活用力が弱かったりなど、正答率から同じような課題が見えていました。やはり、子どもたち自身の勉強不足が原因にあることは否めないと思います。その例として、次のような統計結果も出ています。

全国学力テストでは、同時に「学習状況調査(児童生徒アンケート)」も実施されています。小学6年生の回答を見てみると、「学校の授業時間以外に、(平日)1日当たりどれくらい勉強をしますか?」との質問に対し、4割に近い生徒が「1時間より少ない」と回答しています。教科の平均正答率と照らし合わせてみると、小6の国語では、「全くしない」と回答した生徒の正答率は51.4%、「3時間以上」は75.9%、その差は24.5ポイントという開きが出ています。また、算数においては、「3時間以上」と答えた生徒の正答率は、実に8割に達しています

1日あたりの勉強時間が長いというのは、つまり「学習習慣が定着している」ことを意味します。※1日「3時間以上」は多いように見えますが、中学受験を目指す小学6年生なら、標準的な勉強時間であると言えます。

学習習慣が身についている子は、家で毎日勉強する時間が決まっていたり、学習塾でハイレベルな問題を豊富に解いたりなど、トータル的に学習量を高めるようなサイクルができていると考えられます。加えて、勉強を単なる暗記で済ませるのではなく、「なぜそうなるのか?」「どういうことなのか?」をしっかり考え、学習内容を原理原則から理解しようとする子は、確実に成績を伸ばしていきます。

「知識を活用させて解く問題」「思考力・表現力が求められる問題」は、全国学力テストに限らず、今後、さまざまなテストや入試で出題されます。それらに対応できる力を養うには、一定の学習時間の確保と正しい勉強法の実践が欠かせません。

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勉強量と学力の相関関係が、あらためて数字になったかたちですね。小学生でも、やっぱり「毎日勉強する」習慣が大事だとわかりました。

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はい。そのためには、子どもたちが「勉強って楽しい!」「もっと学びたい!」と思えるような、学習意欲を高める環境づくりと周囲からのはたらきかけが必要です。全国学力テストの結果を機に、私たちも考えていかなくてはなりません。

【図表の出典】
・国立教育政策研究所
・文部科学省

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